レクサスの主力SUV! 新型「NX」試乗 4種類も用意されるパワートレーン、どれが推し?
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一 170
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一 170
しかしこの日、最も気に入ったのは2種類あるICEのうちのパワフルな350だ。従来型の2L直4ターボエンジン(同175kW<238ps>、同350Nm)に比べ、大幅にパワーアップした新開発の2.4L直4ターボエンジン(最高出力205kW<279ps>、最大トルク430Nm)を積む。8ATの組み合わせ。従来型には6ATが組み合わせられていた。この新エンジンが実に勇ましい。アクセル操作に対するトルクのつきがよく、打てば響く感じ。モーターを中心に発進する450h+や350hのように怒涛の低速トルクはないものの、ある程度タイヤが転がり始めてからは軽やかに加速していき、伸びもある。ターボラグも感じられない。
車山高原を貫くビーナスラインは日本有数の観光道路だが、空いた平日は走りを楽しむのにもってこいのワインディングロードだ。ただしアップダウンがあるので非力なクルマだと上りで我慢の時を過ごすことになる。350は一切上りを苦にしないでグイグイ加速する。パドルでマニュアル変速できるが、8ATが賢く変速しておいしいエンジン回転域を維持してくれるので、素直に任せたほうがいい。惜しむらくはエンジン音。エンジン音を増幅させてスピーカーから流す装置が備わるものの、肝心の音質が魅力的とはいえない。どうせスピーカーを使うなら増幅のみならずチューニングした官能的な音を聞かせてほしい。
350はNXで唯一Fスポーツしか設定されない。作り手が「これはスポーティーな走りを楽しむことを優先したグレードですよ」と意思表示したモデルだ。Fスポーツ以外のモデルは減衰力が一定のダンパーを使うのに対し、Fスポーツには減衰力が路面に応じて連続的に変わるAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション)が備わる。路面の凹凸に適応して減衰力が変わり、荒れた路面で快適なだけでなく、車体の加減速や旋回に応じて減衰力がコントロールされる。
Fスポーツに感じたのはロードホールディング性の高さだ。ビーナスラインには洗濯板のように波打った区間がある。バージョンLのモデルが跳ねるようにそこを通過したのに対し、Fスポーツの350は凹凸に沿ってタイヤが追従し(たように感じ)た。コーナーでも、踏ん張ってくれるものの突っ張るわけではなく、好ましい印象を抱いた。「スポーツ」と付くものの硬いわけではなく、むしろよく動く足だ。
4WDの250バージョンL(543万円)にも試乗した。250は明らかに価格を抑え、販売台数を底上げするためのグレードだ。走行性能において特筆すべき部分はない。ただし700万円を超える450h+に対し、FWDの250は455万円。250万円以上安く同じルックスと同じ安全装備、快適装備が手に入ると考えることもできる。走りにワクワクしないだけで、走りにワクワクを求めない人には、お得なレクサスと言えよう。
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